四方田犬彦『ハイスクール1968』(新潮文庫/文庫)

ロック、映画、文学に学園紛争。カルチャーも政治も人も熱に浮かされていた1969年に、いっとう時代の空気を吸収していた進学校で青春時代を過ごした著者の回顧録。村上春樹庄司薫によって消毒された1969年しか知らなかったから、当時の雰囲気を熱を持って追体験できたのが興味深かった。一気に読んだ。

日本版のヘアーって元々は寺山修司が演出してたんだね。知らなかった。そのほかにも、名前だけは知っている、しかも口に出すと嬉しくなれる固有名詞がぞくぞく。さらにはそれらが世の中に出た瞬間の影響力もうかがい知れる。文化史としても楽しく読めました。

難解なモノこそが良いとされてた最後の時代、1969年。そんな中10代を過ごした人は、ぼくみたいにへらへら10代を過ごしたやつとは教養の基礎体力が違うんだろうな。情報と知識は違うということ、なんか焦る。

ハイスクール1968 (新潮文庫)

ハイスクール1968 (新潮文庫)

2008/05/14読了[12冊目]