2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

四方田犬彦『先生とわたし』(新潮社/単行本)

膨大な固有名詞によって形成されている四方田犬彦の自分史を読むと、妬ましくなる。これだけの知識を携えて世界を理解していくのって、楽しいんだろうなーって。四方田犬彦自身、妬まれ、羨ましがられることを狙って書いてるんじゃないか?と勘ぐりたくなる…

川端康成『みずうみ』(新潮文庫/文庫)

中学生以来の再読。以前の感想はずばりエロ小説。淫靡な、なんかいけないものを読んでいるような感覚が好きで、でも川端康成ってブンガクで偉い人なんでしょ?へんなのーなんて思いながら読んでいた気がする。今回は、構成の巧みさにびっくりした。尋常じゃ…

大串夏身『ある図書館相談係の日記』(日外アソシエーツ ・紀伊国屋書店 /単行本)

現在は図書館情報学の研究者として大学に籍をおく著者が、東京都立中央図書館の相談係としてレファレンスを担当していた日々を綴った日記。レファレンス自体利用したことがないし、そもそもそんな機能が図書館にあることを知らなかった。1人でインターネット…

四方田犬彦『ハイスクール1968』(新潮文庫/文庫)

ロック、映画、文学に学園紛争。カルチャーも政治も人も熱に浮かされていた1969年に、いっとう時代の空気を吸収していた進学校で青春時代を過ごした著者の回顧録。村上春樹や庄司薫によって消毒された1969年しか知らなかったから、当時の雰囲気を熱を持って…

カレル・チャペック(著)/千野 栄一(訳)『ロボット』(岩波文庫/文庫)

労使の矛盾とアイデンティティの探求と、理性をもった生き物のワガママさのSF戯曲。意外ととっつきやすかった。『夜の来訪者』読んだときも思ったんだけど、海外文学で出てくる労働者の悲哀とみたいなのって日本の文脈だと何が一番近いんだろう。陰気な、出…

鈴木孝夫 『ことばと文化』(岩波新書/新書)

面白い!自分のことを「ぼく」と言ったり、あるいは「おとうさん」と役割で表現したりするあいまいな日本人の自称詞、対照詞を説明していくくだりは感心。関係性のなかで自己のキャラクターを切り替えていく日本人らしさって、日本語にも明確に反映されてる…

高橋源一郎『虹の彼方に』(講談社文芸文庫)

最近の高橋源一郎も小説のための小説をよく書いてるけど、初期のころってもっと真っ向勝負だったんですね。書き上げたのがすごい。虹の彼方に (講談社文芸文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/11/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック:…

高橋宣行『コンセプトメイキング 変化の時代の発想法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン/単行本)

実制作者向けというよりは、広告営業向け思考フローのテンプレート紹介という印象。もしくは表現に走りがちなクリエイティブ職1年生が読んでも役立ちそう。プレゼン、もしくは初訪前に読むと思考が整理されて便利かも。コンセプトメイキング 変化の時代の発…