大塚英志+東浩紀『リアルのゆくえ─おたく/オタクはどう生きるか』(講談社現代新書/新書)

大塚英志のほうがオリジナリティだったりコミュニケーションの力だったり、なんていうか、人間のプリミティブなものを信じているんだなーという印象。

タコツボ化したり村化したり自家中毒がはじまったりしたときに、それでもいいじゃんって、全体が見えなくてもいいじゃんってある意味降りて、社会の構成員である自覚なしにも公共性を保てるようにシステムの「グランドデザイン」を図る東浩紀の主張はよくわかる。その中でもコミュニケーションにおいて、『誤配』が希望であるってくだりも納得はできる。

でも、Webの進化によって逆に閉塞感がますます高まっていて、自分が居やすいと思っていた文化圏(サブカルチャーとか)がいつのまにかメインカルチャーになっていて、システムが足かせになってそこからどんどんスピンアウトできなくなっているような実感が個人的にはあるので、大塚英志が苛立ちのあいだから見せている「アツさ」みたいなものを伴うコミュニケーションがむしろ好ましく感じられた。ほんとにプリプリしながら喋ってる大塚さん。良い人。面白すぎる。これだけプリプリした対談が続く中、秋葉原の事件を受けて東浩紀が自分の今後のスタンスについて宣言するくだりも興味深い。

二人に興味がないと読んでて不快になりそうなほど、意見をすりあわせないし結論出ない対談。予定調和に終わらないという意味では貴重。

2008/09/15読了[33冊目]