スタンレー・ミルグラム(著)、山形浩生(訳)『服従の心理』(河出書房新社/単行本)

「権威に服従した状態であれば、普段では考えられない残酷な行動をしてしまうものである」。人間のそんな側面を浮き彫りにした「アイヒマン実験」のレポート。「責任は取りますので」と言われ嬉々として実験を進めていたのに、後に自らにとってストレスのないように、文脈を読み替える婦人のくだりが興味深かった。

判断の拠り所として、自分はどこに基準点を置いてるんだろうと考えれば考えるほど、狭くなっている視野に焦りを感じるなー。

訳者である山形浩生のあとがきも秀逸。ミルグラムの説を今の時流を踏まえて、新たな視点でひっくり返している。権威を疑いつつ人の仕組みを観察していたはずの自分が、ある権威にからめ取られてたってあとがき読むまで気付かなかったよ。やれやれ、と苦笑。

服従の心理

服従の心理

2008/12/28読了(41冊目)

これにて2008年は読み納めでした。誤読も多く、変化のない読書メモですがお付き合いありがとうございました。2009年もたぶん相変わらずですが、お手すきのさいに、どうぞどうぞ。