三木成夫『内臓のはたらきと子どものこころ』(築地書館/単行本)

『こころ』の起源を内臓、つまりはらわたの発達から読み解く講演を文章化した、三木成夫のデビュー作。

胎児の世界―人類の生命記憶』を読んだときも強く感じたのだけど、ほんと紙一重だよなー、この人の論調って。

「切れる頭とは言うけれど、切れるこころという言い方はない」「あたたかいこころはあっても、あたたかい頭はない」「要するに、あたまってのは考えるもの、こころは感じるものなんです。こころとは、内臓が内包している宇宙のリズムを感じ取るものなのです!」

解剖学者として人体のしくみを目の当たりにしていくうちに、胎児の成長と地球上の生物が辿ってきた数億年の進化の歴史に形状上の類似点を見出した(つまりある種の奇跡を見た)著者だからこそ力説できる自論がまぶしい。

こういうの、嫌いじゃないです。アハ体験の茂木せんせいにも感じる、なんていうんだろ、ある種突き抜けちゃった人から発せられるウサンクササを愛せるかどうかでこの本の好き嫌いが分かれそうだなー。『ドグラ・マグラ』とか好きな人にはオススメできるかも。

内臓のはたらきと子どものこころ (みんなの保育大学)

内臓のはたらきと子どものこころ (みんなの保育大学)

2009/04/11読了(65冊目)