エルヴェ・ティス/ピエール・ガニェール (著)、伊藤文(訳)『料理革命』(中央公論新社/単行本)

既存の料理手法に疑問を投げかけ、実際のレシピで応える。「料理の真理」を追求するために、文学、美学、哲学、それに絵画や音楽などの思想をヒントとして展開されるエルヴェ・ティスとピエール・ガニェールのレッスン。合間に挿入される小説風のテキストによって、ティスの思考プロセスを追えるので消化しやすかったです。

ガニェールの名前は知っていたけれど、物理化学者エルヴェ・ティスは初見。調理を物理的、化学的に解析する『分子ガストロノミー』の生みの親、なんだって。訳のクセなのか、スノッブな語り口調はどうしても好きになれないけれど、とてもたくさんの気づきに出会える本。手元に置いて、発想が行き詰ったときに、ふと読みかえすのに良さそう。

面白かったのが、ガニェールのレシピ。猛烈にそそられるものと全くイメージできなかったものに分かれたことでした。「食」って体験なんだな、体験が追いつかないレシピは僕が理解できなかったみたい。食の経験値が上がったら、また読んでみるのも楽しそう。それにしてもおなかの減る本でした。

料理革命

料理革命

2008/08/31読了[30冊目]