200808

入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん―幸せの背景は不幸』(電撃文庫/文庫)

「嘘だけど」。みーくんの口ぐせを活かした仕掛けが巧い。地の文でも嘘を交えて読み手を罠に誘い込む周到さ。でもその嘘が結果的に救いになっているからそこ、読後はさわやかです。ヤンデレ(っていうか壊れてる)まーちゃんのピーキーな様子を可愛いと思え…

ポール・ホフマン(著)、平石律子(訳) 『放浪の天才数学者エルデシュ』(草思社/単行本)

天才は極端だ。この本で取り上げられている数学者、ポール・エルデシュを知って、ますますそう思った。オイラーに次ぐ約1500篇という大量の論文を書き上げた彼の生涯は、極端な数学漬けだったそうです。1日のうち19時間を問題を解くことに充て、世界中の数学…

エルヴェ・ティス/ピエール・ガニェール (著)、伊藤文(訳)『料理革命』(中央公論新社/単行本)

既存の料理手法に疑問を投げかけ、実際のレシピで応える。「料理の真理」を追求するために、文学、美学、哲学、それに絵画や音楽などの思想をヒントとして展開されるエルヴェ・ティスとピエール・ガニェールのレッスン。合間に挿入される小説風のテキストに…

古川日出男『アラビアの夜の種族』(角川文庫/文庫)

アラビアを舞台の底辺としたメタメタしたお話の世界にぐいぐいと引きずりこんでいく奔放な文体、各種欲望の比喩にビルディングロマンスのテンプレート、歴史モノに魔法、SFにRPG(ロトの紋章みたい)!要素多すぎ、読みどころだらけ。しかもそれらを破綻させ…

村上春樹『レキシントンの幽霊』(文春文庫/文庫)

短編集。ちょっと不思議なシチュエーションを通して世界のあり方を受け入れるようなお話が多かった。ひさびさに村上春樹読んだけど、しんとした空気をつくるのがうまいなー。あとやっぱりまねしたくなる文体。それはまるで、完璧なきゅうりみたいな文体なん…

リチャード P. ファインマン(著)、大貫昌子(訳)『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉』 (岩波現代文庫/文庫)

自分の知らないことに対して謙虚でいる、自分の納得がいくまで考える、自分で実際に手を動かして確かめてみる、当たり前のことを誠実に行うのってすごく楽しいことなんだって思い出させてくれるノーベル賞物理学者のエッセイ。ファインマンの人柄を身近なも…

アニリール・セルカン『宇宙エレベーター』(大和書房/単行本)

専門的な話になりそうになると、著者が疑問を投げかけてくれるので一緒に考えながら読めてよかった。宇宙エレベーターに限らない、科学的思考の楽しさと最新の宇宙開発の話。宇宙エレベーター作者: アニリール・セルカン出版社/メーカー: 大和書房発売日: 20…