速水健朗『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』(原書房/単行本)

ケータイ小説の表現手法やそれらを「リアル」だと言い支持する若者たちの文化的背景を、浜崎あゆみやヤンキー文化から紐解いていく文化批評。

ぼくはケータイ小説は『Deep Love』に『恋空』、『あたし彼女』くらいしかちゃんと読んだことなかったんですが、共通した違和感があったんですよね。行間を読めないというか、行間がないというか。情緒がない、って言ったらそれまでなんだけど、独特の乾いた感じがあった。誤読の余地すらない。その辺に対する考察もしっかり行われていて楽しかったです。そうか、ヤンキーのコミュニケーションか。

そりゃ大人がケータイ小説を理解できないのは当たり前だよなあ。バックボーンにしている経験が違いすぎる。その点を「分からない文化」で片付けずに、丁寧に解き明かしていった本書の姿勢は素敵。

自分探しが止まらない (SB新書)』や『タイアップの歌謡史 (新書y)』もそうだったけど、著者の速水さんは多岐にわたる資料を繰って感覚的に納得できる結論を提示するのが巧いなーと思いました。

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

2009/01/11読了(44冊目)