中島義道『カントの読み方』(ちくま新書/新書)

カントのちょう難解な著作である『純粋理性批判』を読み解く工夫がぎっしり詰まった解説書。

読みきれず!原書に当たることになったら、また手に取りたいです。

哲学書はとかく文章が小難しい。『統覚』に『超越・覚知』、『予料』って言われても、はて何のことやらと思ってしまう。この悪癖は元をたどれば、カントなどが輸入された当時の社会背景に起因すると中島義道は書いています。「幕末前の日本にはない概念だったから、言葉を新たに作り出した」、「大学で研究をするインテリゲンチャーのためだけに作られたテキストだったから、彼らの向学心を満たすためにあえて難しい表現になってしまった」。やれやれ、いま日本は西暦2009年だぜ?という気分に。

とは言え、上記のような単語を駆使するのは有用なこと。そもそもカントが言及していること自体が難解なのだから、分かりづらいのは仕方ない。試行錯誤しながら、その世界を紐解いてくれる本書はたいへんありがたい一冊なのでした。

カントの読み方 (ちくま新書)

カントの読み方 (ちくま新書)

2009/04/04図書館に返却