渡辺洋三『法とは何か』(岩波新書/新書)

法の体系や思想を著者の意見を交えて読み解く、法の入門書。

社会の基盤になっている概念ってどんなもんじゃろ、と思って読んでみた。

西洋では資本主義市場の要請から法が必要とされ整備された健全なものだったのに対して、日本のそれは開国に伴ったトップダウンの仕組みだったという事実に目からウロコ。日本人の「おかみの言うことにゃ従っとかないとねー」という、国家に対する及び腰な姿勢も、こういった歴史の積み重ねの成せる技なんだろうね。言われてみればそうだよな。敗戦時に制定された、現行の日本国憲法だってそうだもんな。

日本ではベーシックな社会の仕組みを市民の要請で作り上げたという成功体験がないのかな、そう考えると、色々と納得できる。とは言え、なんかこのへんに引っかかり過ぎちゃうと、ゲバ棒持つことになっていくのかも。カタルシス大きそうだもの。

法というものを俯瞰できて良かったです。それに、周辺知識に関しても簡単ながら言及してくれてるので、『知の歴史』みたいなのにも想いを馳せることができて楽しい。自然に対する恐れが宗教を形作って、哲学がそこに立ち向かって、一般化されて法が出来て、また哲学が苦悩して、みたいなのの繰り返しなのかな。でもそうすると哲学が2種類存在しちゃうことになるんだよな、その辺も法の遍歴も絡めつつ、引き続き読んでいこう。

法とは何か 新版 (岩波新書)

法とは何か 新版 (岩波新書)

2009/04/25読了(68冊目)