脇本平也『宗教学入門』(講談社学術文庫/文庫)

「宗教」とは何なのかを体系化する。「事実を客観的に取り上げて主観的な価値判断を避け」「宗教を人間の生活現象の1局面として捉え」「特定の一宗教ではなく複数の多宗教を資料として取り扱う」ことを旨とした「宗教学」の入門書。

これは良い入門書。信仰の対象や宗教儀礼、そこに組み入ることになる信者の心情まで客観的にまとめてあり、「宗教」がどういったアウトラインをとって成立しているのかが理解しやすかった。どうしても特定の宗教に対する想いが強くなりがちなこの分野の本にしては、至って冷静な筆で書かれていた点もありがたい。

目次を引用しておきます。見てもらうと分かるとおり、ほんと大局のつかめる内容になっている。この本みたいなスタンスの文献が充実していれば、新しい分野にも触手が伸びるんだけどなあ。

1 宗教学の立場と分野
2 宗教の原初形態
3 科学・呪術・宗教
4 宗教の諸類型
5 宗教の構成要素
6 宗教的実在観
7 宗教的人間観
8 宗教的世界観
9 宗教儀礼
10 教団と社会
11 宗教体験と人格
12 宗教の機能

宗教学入門 (講談社学術文庫)

宗教学入門 (講談社学術文庫)

2009/04/05読了(61冊目)